グラブルにサプチケが来ました。

従来通りならサプチケの候補は
・コルワ
・ジャンヌ
・アルタイル
だったのですが
バランス調整アプデの一部差し戻しと
それによる再調整もありそうなので
調整が終わるまで様子見でしょうか。


上の人たちは奥義より反骨ブレアサTAを、という環境らしいです。
奥義に価値をもたせようとして、それ自体は達成されたものの
反骨ブレアサと奥義上限が連動していたようです。
奥義キャラは上限上昇と引き換えに効果量を下方修正された中で
今まで強かった反骨ブレアサキャラが絶対的にも相対的にも強くなったとか。



ギャグのような顛末を迎えた上記のアプデですが
「奥義の価値を高めたかった」というのは
奥義キャラの価値が落ち本末転倒になったことはともかく
意図としては理解できます。

この件に付随する水着イシュの弱体化は
消費者庁 景品表示法違反被疑情報提供フォーム)に任せるとして

今回はいろんなゲームで行われるバランス調整の
やり方の雑談なんて烏滸がましくてできないので
意図に関する雑談をしていきます。
ただし前半はNerfに関する話です。




バランス調整の根幹は
「PLが楽しめていない要素を改善する」の一言に尽きます。

そのため調整に関してはPvPとPvEで分ける必要があります。
というのも、NerfはPvPでは行われなければなりませんが
PvEでは可能な限り避けるべきだからです。
なぜならPvPでの楽しみは健全な対戦環境であり
PvEでの楽しみは自身の成長にあるからです。


このことはPvEでの調整間隔の少なさの理由に繋がります。


まず1つ目。
PvEではPLは性能を上げることに時間や金銭といったコストを支払っているため
調整はPLのコストを無為にする行為になりかねません。

たとえば「エクスカリバーが最強だ!」と聞いて武器を強化しはじめたPLがいて
それが完成した直後にNerfが入ると、そのPLのモチベは壊滅すると思います。
「アーサーは強い!期間限定排出!」と煽られガチャを回したPLがいて
排出が終了した直後にNerfが入ると、そのPLのモチベは壊滅すると思います。

なので調整が入るにしても、PLが支払ったコストに対し
十分に恩恵を受けたあと、告知の上で猶予を与えてNerfすることが多いです。


2つ目、Nerfを行わないと調整はBuffとイコールになります。
つまりインフレを起こします。
調整を頻繁に行えば行うほどインフレは加速します。
理想は(新規加入者を救済する意味もこめて)緩やかなインフレなので
調整頻度も必然的に緩やかになります。

もちろんPvEでも頻繁に調整を行うことで
Nerfの影響を相対的に小さくし、PLを調整に慣れさせ
環境を回すことで定着率を上げる、ということも可能です。
ただ運営側のコストが非常に高く、この方針はあまり見かけません。
無いわけではないですが……




ところで、PvEでNerfは必ず避けなければいけないのでしょうか。
私はそうではないと思います。

ゲームバランスを根底から覆す要素が出た場合
PvEといえども無視できない存在になります。
「水はひび割れを見つける」とはいいますが
そのひびが器を割るほど大きいものなら防がねばなりません。

最も避けなければならないのはNerfではなくビルドの固定化です。
・どのデッキも神ジェイスでいい
・刀神玉鋼でFA           etc...
こういったことはPLに急速な飽きをもたらします。
対抗策は直接的なNerf、別の能力を要求するコンテンツの実装
特攻・属性等による有利の分散、などありますが
今回は方法について話さない、としているので割愛します。

こういった一強状態は他をBuffするより
むしろ傷が広がらないうちにすぐNerfするべきです。





さてバランス調整の意図の話に移りましょう。

PvPのほうはWizardsやRiotなどが方針を詳細に語っているので
そこから大雑把に持ってきます。
他にもご自身の好きな対戦ゲームを調べてくだされば
だいたい似たようなことが書いてあると思います。


スタンダードの禁止に関する声明
※長くて読む気が失せたなら
 「なぜ禁止カードが必要なのか」の部分をどうぞ。





※30秒の時点で要約が出ています。




次はPvEの話です。
こっちのほうが私にとって馴染み深いので
借りてくるだけでなく、大真面目に書いていきます。

目的はPLを楽しませることです。
ここで注意していただきたいのが
バランスが悪くても面白いゲームは面白い、ということです。
つまりバランスはゲームの面白さの単なる一要素にすぎません。
これは非常に重要なことです。


バランスの良さが面白さに寄与するのは
PLに多数の選択肢を与える、という部分です。

ここでバランスは、当然ですが選択肢同士の関係そのものなので
選択肢自身の面白さにあまり関与しません

たとえばDarksouls2であなたが神官ビルドでクリアした後
魔法剣士で再スタートして「攻略辛いなあ」と思っても
多少楽しみが削がれることこそあれ、大きく削がれることはありません。

もしそのゲームが面白くないのだとしたら
それはバランスよりレベルデザインのほうに問題が有ります
たとえば敵が理不尽な動きをするだとか、理不尽な配置だとか
マップが単調だとか、そういったことです。
(これも広義にバランスと呼びますが
 今回はPLの選択肢間でのバランスに絞ります)


もちろん極端に悪すぎると
「なんで俺(弱いのに)このビルド鍛えてるんだろ……」と
虚無感に苛まれてしまいますが
そこまで行く「壊れ」「OP」といった存在は多くはありません。



ここまでで述べたことを要約すれば
「バランス調整は大事だけどもっと大事なことがある」
ということです。

「なんでそんなこと言ってるの?」と思われるかもしれません。
ここでレベルデザインの問題をバランスの問題に履き違えた例を紹介します。


FF14の機工士強化。
最初に断りを入れますが、このゲームは大好きですし
これ以外のアップデートも好きです。
運営も信用できますし、ゲームは国内外で大成功しています。

さて内容から。
機工士と詩人の2つのジョブがありました。
レイドには片方だけが参加できます。
機工士は後から追加されたジョブでした。

2つのジョブの強さは拮抗していましたが
使用率には雲泥の差がありました。
詩人は多く、機工士は絶滅危惧種でした。

そこで運営は機工士を大幅に強化しました。
あまりにも強かったので機工士の使用率は上がりました。
めでたしめでたし。


この調整の意図は使用率の上昇にありました。
使用率が低い原因は機工士の設計そのものにあったにも関わらず
それを改善せずに、数値上の強さで無理やりに使用率を引き上げた
のです。
しかもバランスが取れていたものを壊してまで。

ストレートに言えば
多くの人にとって面白くないジョブを無理やりOPにして使わせた調整です。
性能的には良いバランスだったものを壊したという点も含めて
多くの調整の中でもかなり悪質な部類です。


こういった盲目的に使用率だけを見るアプデは多いです。
多くのMMOで新規ジョブを意図的に強くして使用率を稼ぎ
定着したところでNerfして安定化を図る、といった手法が見受けられます。

ですがNerf後もそのジョブを続ける人は
ほとんどの場合、使用感・設定・デザインを気に入っているので
最初から壊さずとも、長期的には変化がありません。



使用率以外にも
・勝率
・開放率
・InQ率
・成功率
・踏破率
・平均マッチング時間
・InQ平均レベル帯
・平均攻撃力
・PT内平均攻撃力上下差
・死亡率
・アイテム所有数
・アイテム消費率
など様々なデータが惑わしにやってきます。

成功率が低ければ悪いコンテンツなのか、
InQ率が低ければ悪いコンテンツなのか、
ここを短絡的に解決しようとすると悪い方向に傾きます

成功率が低くても楽しんでいるPLのほうが多いかもしれません。
InQ率が低くても、実際は広い範囲のPLが
数日に1回など定期的にQを入れて楽しんでいるかもしれません。
他にレアアイテムがあるわけでもなく
入手手段が限られているのにアイテム保持率が一定の伸びを見せる場合
排出されるコンテンツそのものが楽しまれているのかもしれません。

1つの数字だけを見て、PLが楽しんでいるかどうかを見失い
「このアイテム平均所有数少ないから武器の要求素材調整しよう」
「使用率低いから上げよう」
「失敗率高いから緩和しよう」
などとすると大抵悪い調整になります。


最後のほうでレベルデザインやデータ解釈の話と重なってしまいましたが
まとめると
・バランス調整の目的はゲームを面白くするため
・バランスが面白さに寄与できるのは選択肢の幅を広げることのみ
・バランスは選択肢そのものの面白さにあまり関与しない
・壊れはゲームを壊す

です。


「知ってた」という人もそうでない人も
いろんなゲームに当てはめてみてくださいな。